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posted on 6.19.2015

【第41話】謀叛~玄徳の誤算


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2013年7月13日、甲子園球場の横浜DeNAベイスターズ戦です。

試合は序盤3回を終わって2-0。阪神ペースで進んでいます。



4回表も先頭の中村にヒットを許すも、多村ゲッツーで2アウト。

バッターは7番・荒波。






荒波、打った~!打球は弾丸ライナーとなり…






そのままスタンドイン!

荒波のソロでDeNA1点差に迫ります!!



関羽「クリーンナップは警戒していたが、まさか荒波に一発とは…」





劉備「なんの。ゲッツーで走者がいなくなっていたのが幸い。まだ我が軍のペースだ。」



1点差のまま5回表、先頭のピッチャー・三浦にヒットを浴びます。



関羽「さすがは番長。接戦において自らも攻撃の一員として出塁するとは。この試合、このままリードを守りきる展開ではござらんな。」




そして二死1・3塁とピンチは広がり、4番・ブランコ。劉備のギアは上がるのか?それとも得点圏打率4割を超えるブランコが決めるのか!?






劉備「このピンチ、抑えれば勝利にグッと近づくはず。関羽、ここは勝負だ!!」






ここは劉備がブランコをセカンドゴロに打ち取ります!

劉備玄徳、ギアチェンジでこのピンチもまた凌ぎました!!






坂「さすが殿!あこがれるゥ!」



張飛「坂がさか(茶化)した。イマイチだな。」








そんな周囲の浮かれ気分には乗らずに、険しい表情の劉備。

6回の表も抑えます。ここまで2-1。そろそろ追加点が欲しいところです。



劉備「スパイス監督、チャンスがあれば動いてください。次の1点が勝負どころです。鳥谷さんならどんな状況でも1点もぎ取ってくれるでしょう。それから、今日の試合展開では終盤に藤井さんの出番もあるかもしれませんのでよろしくお願いいたす。」






スパイス監督「うんうん。劉備殿ももうひと踏ん張りですな。ささ、ベンチ裏で肩を休めてきてくだされ。後はワシに任せて。」



6回裏、先頭の張飛がヒットで出塁です。






劉備「関羽に一発が出ればな。しかし番長もエースと呼ばれた男。さすがに警戒してくるだろう。鳥谷さん、頼みましたよ。」




鳥谷「おう。犠牲フライでもゲッツー崩れでも、キレイなヒットじゃなくてもここは1点もぎ取ってくるぜ。安心して休んできてくれ。」




劉備「かたじけない。この試合、何としてでもあの番長に投げ勝ちたいのだ。もうひと踏ん張りするために、少しだけ休ませてもらう。」






劉備がベンチ裏に下がったその時、関羽がライト前ヒット!

無死1・3塁と大チャンス到来です!!!






ここでスパイス監督が代打を告げました。バッターは…






なんと、大和です!!






得点圏打率.173の大和をこの大チャンスに起用!

先日の中日戦同様、ここで一気に畳みかけるつもりか!?



関羽「?妙だな。ここは鳥谷さんと思っていたが…確かに沖縄では結果を出していた大和さんだが、甲子園に戻ってイマイチ調子が上がっていないように見えたが。」




張飛「なんか昨日スパイス監督と話し込んでたな。これ、ホントに大兄貴の采配か?」





大和「いきなり来るとは思ってなかったぜ。今日も試合前の練習はイマイチだったけど、ここはまたとないチャンス。オレから始まる怒涛の攻撃再び!といくぜ!」



鳥谷「大和!?明らかに準備が出来ていないぞ!この試合の緊張感に入っていけてない。それにこの起用は?殿の指示はいったい…」




スパイス監督「ここは誰を出しても追加点間違いなしだ。ならば劉備の選んだ鳥谷ではなく、ワシの選んだ大和が結果を出し、そしてこのワシの采配が評価されるのだ!」






大和、三振!!!

このチャンスに前にボールを飛ばせません!!



大和「い、いや、外野フライでいいと思ってたんだよ。けど3塁ランナー張飛だろ?浅いと帰って来られないかとか、内野も中間守備でゲッツー狙いかホーム封殺か迷ってるうちに…」




鳥谷「自分が決めるつもりで打席に入った後、犠打の可能性を考えてしまったな。自分の状態、試合状況、そして殿の姿を見ていれば自ずからやるべきことは分かったはず。お前の役割は張飛をホームに突進させることだったんだ。」




張飛「おうよ。マートン直伝のタックルでキャッチャーごと吹っ飛ばすつもりだったぜ。外野フライだろうと内野ゴロだろうと。」




関羽「しかし1・3塁は変わらない。張飛は代えられないから私に代走を出して揺さぶるか…!?」」







続けて代打です!

スパイス監督、藤井をコールします!!!



スパイス監督「終盤に守備で入れるなら、ここで結果を出して関羽と交代じゃ!藤井なら犠牲フライくらい打てるはず…」






しかしここは最悪のセカンドゴロゲッツー!

阪神、無死1・3塁のチャンスを生かせませんでした!!!






劉備「なんと、いうことだ… 自分のピッチングに集中するあまり、采配の意図が伝わっていなかったのか… スパイス監督…」




張飛「殿!コイツは自分の采配で手柄を立てたかっただけだ!殿に対する謀叛だ!打ち首だ!!」




関羽「大和さんも甲子園に戻ってからの自分の状態、そして試合状況を読み間違えたまま打席に入ってしまった。打ちたい気持ちだけではダメだと試合前に話していたのに…」




劉備「言うな、二人とも。打ちたい気持ち、勝ちたい気持ちは大和さん、藤井さんはもちろん、スパイス監督とて同じはず。それを同じ方向に向けられなかった私の不明のいたすところだ。」




スパイス監督「そうだそうだ!打てなかったのは結果論であって、劉備の策で点が入ったかどうかも分からんわ!ワシだってチームのためを思って、その場の状況で判断したまでだ!」




関羽「それも正論ではある…が」





張飛「一度殿のやり方でやろうって決めたんだからよ、信じてやりきるのが筋ってもんじゃねぇのか?」




大和「確かにスパイス監督にアピールはしたよ。オレもやる気はあった。が、打率が2割切ってるんだから普通に打ったって5打数で1本打てないんだもんな。いきなり結果を出したからって代打を甘く見てたよ。」




鳥谷「まして得点圏打率は更に低いんだ。今のオレ達は結果を出すことよりも状態を上げることが必要なんだ。」




藤井「オレも反省はあるが、まだ試合中だ。殿、選手の交代を。」



劉備「うむ。ショート坂さんに代わって鳥谷さんに、ファーストは良太に代わって関本さんに入ってもらう。キャッチャーは関羽、すまぬが今日も最後まで頼む。」




関羽「はっ。この関羽、力の限りに。」




藤井「それでいい。オレはベンチで声出すぜ。」



スパイス監督「いーじゃんいーじゃん、まだ勝ってるんだしさ。後は劉備が抑えればこの試合のヒーローも勝利の采配も、みんな君のものだろ?」



張飛「コイツ!試合終わったら百杖の罰を与えてやるぞ!」





大型連敗後、玄徳を中心にまとまりを見せ始めた阪神タイガース。

しかしその玄徳の登板により、再び綻びが現れる。

6回を終わって2-1。この最小リードを守りきり、綻びを繕うことが出来るのか。次回、衝撃の決着!!


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