後漢末期、政治の腐敗は進み、宦官による悪政がはびこる一方、連年の災害により飢饉が続き、民の生活は苦しく、社会不安は増大の一途を辿った。
生きる道を失った農民は、張角の興した太平道と称する民間宗教に魅せられ、やがて信徒の数は数十万にまで膨れ上がった。
彼らは都の官署や地方の役所の門に白い土で「甲子」の二字を書き付け、流言を飛ばしはじめた。
蒼天すでに死す
黄天立つべし
歳、甲子に在り
天下大いに吉
時は一八四年、彼らは黄色の布を頭に巻いて「黄巾党」と呼ばれ、ことばの通り甲子の年であるこの年、一斉に蜂起することで世直しをはかり天下太平を目指したのであった。
ところが決起直前に計画が漏れ、クーデターの成功はならず。しかし、各地で反乱は起き、それは中国全土を巻き込む大きなうねりとなった。
いわゆる「黄巾の乱」である。
・・・なんだなんだ、何がはじまるんだ・・・
さて、各地の反乱が無秩序ゆえ略奪や強盗を繰り返す暴徒となり、弱き民は更なる困窮に陥った。
後漢王朝にそれを抑える力はもはやなく、各地の有力者が義勇軍を募り暴徒を抑えるも、とどまることを知らない反乱の波はとめどなく押し寄せた。
そんな中、前漢の景帝の第九子、中山靖王劉勝の庶子、劉貞の末裔という血筋を持つ劉備玄徳もまた、自らの力のなさに嘆き天下が乱れるのを見ているだけであった。
・・・劉備の血筋って今更ながら微妙だな。信成と信長の関係より薄んじゃないかな?
そんな劉備と出会い、志の高さと器の大きさを感じさせる不思議な魅力に惹かれた関羽雲長と張飛翼徳の義兄弟。自分たちの力を生かす道を見つけたとばかりに劉備を長兄として改めて義兄弟の契りを交わすことに。
・・・劉備のお母さんが「どのように準備したのか分からないが(横山三国志より)」村の若者たちがセッティングしてくれたという『桃園の誓い』やね。知っとるで
そう、そして桃園の誓いを果たし、各々熱き思いを語り合う義兄弟たち。しかし三人とも心の奥底に、天下とは違った熱い何かを感じてもいた…
・・・??なにこれ??・・・
そこへ突然まばゆい光が!三人の心の奥底の熱い思いが天に昇った…
・・・は?・・・
時は2013年3月。甲子園球場に三人はいた。
奇しくも黄色いハッピを着た阪神ファンたちが、前年就任した和田監督の5位という不甲斐ない順位、アニキ金本の引退、球児のFA行使メジャー行きはもちろん、あの方のGM就任という暗雲立ち込める球団の未来を嘆き、街は乱れていた。それは、黄巾党と見まごうばかりの虎党の姿であった。
・・・開幕前夜の繁華街かな?・・・
劉備「ここはいったい…」
関羽「甲子…やはり甲子の年!黄巾党が暴れていますぞ」
張飛「大兄貴、小兄貴!それよりその恰好は!!」
劉備「えっ!? 関羽、お前青龍偃月刀は…」
関羽「はっ! 張飛、お前こそ蛇矛がまっすぐになっているぞ!!」
張飛「うほっ! でもなんだか俺たちが求めていたものに近い感じがするぜ!」
そう。彼らの心の奥底に秘めていた熱い思い、それは野球であった。
一八四年、桃園で天下への志が高まる一方、その時代決して報われることのない野球への思いが、現代日本のプロ野球界、2013年に時を超え具現化したのである。
・・・である、ってムチャクチャやなwww そういう設定かw
劉備「では、あの虎党を鎮めるために義勇軍としてこの球団に参加させてもらうとしよう」
中負GM「開幕前日に来て何言ってますの?無理無理!そもそも君たち日本人なの?」
関羽「姓は関羽、名は雲長。あれ?字(あざな)って何だっけ?」
張飛「この俺の打球を見てから言いやがれ!外国人枠は要らないぜ!」
中負GM「うーん。この世界、外国人枠ってないんだけど… けど確かに逸材かもしれん。それに劉備くん、君のプロ野球界をなんとかしようという志、そして伝統あるこの阪神タイガースへの愛は本物だよ!! うん!採用。」
劉備「ありがとうござる。しかし、我らはなんの実績もない新参者。チームの一員としておいていただければ、どこでも貢献いたします。」
中負GM「ふーん。じゃ、全員二軍スタートね。一軍やレギュラーは自分たちの力で勝ち取るんやで。」
張飛「大兄貴!このチームは聖域と称して実績ある大物がケガでボールも投げられない状態なのにスタメンレフトでフルイニング使い続けたチームだぜ!俺たちの出番なんて来るのかよ!」
関羽「そいつもアニキと呼ばれていたそうだな。」
中負GM「じゃ、今年(2013年)活躍しなさそうだから、ボイヤーとコンラッドをポイーで。キャッチャーの橋本良平くんも社会人野球あたりでまだまだ活躍できそうだから、早めに放出しちゃおうっと。」
・・・ボイヤーとコンラッド...あんたが獲ってきたんちゃうか? ボイヤーはメジャー復帰したらしいし、コンちゃんだって…
かくして、阪神タイガースの二軍から始まった劉備三兄弟の物語。目指すはセ界制覇!そして日本プロ野球界の末永き発展!