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posted on 6.04.2015

【第35話】禁忌




2013年7月8日、織姫と彦星が再び離れ離れになったその日、劉備玄徳による禁忌が行われようとしていた…



劉備「よし、張飛!水35リットル、炭素20kg、アンモニア4リットル、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、珪素3g、その他少量の15の元素を持ってこい!!」




張飛「よ、よし。その他少量の15の元素がさっぱり分からんが、大兄貴に考えがあってのこと。オレに任せてくれ!行ってくるぜ!!」

















関羽「兄貴、なぜ張飛を遠ざけたのです?本気で人体錬成をする気ではありますまい。」





劉備「今の張飛の意見は皆聞かざるを得ない。それだけの成績を張飛は残している。が、誤解を与えることもある。あくまで私の意見を伝え、皆に同意してもらう必要があるのだ。」





関羽「兄貴、それほどまでに大ナタを振るう気でいるのですね。」









現在のオーダーはいったいどう変わるのか…








劉備「それでは投手陣のみなさんから始めます。これは現在までの成績、投球回順に並んでいます。」









劉備「まずは能見さん、メッセンジャー、藤浪の三名。二軍で休養および再調整願います。」




関羽「!開幕時の表ローテ三人とも二軍落ちとは…」





能見「仕方がない。勝てない理由は俺自身にある。一度リセットして再び戦力となれるよう調整して来よう。」



メッセンジャー「ボウギョリツ5テンデハ、カテナイヨネ。」




藤浪「プロの厳しさが身に染みてます。」



劉備「もちろん、終盤の勝負どころでは三人の力が必要になるはず。そこを開幕と思ってしっかり調整してください。」




能見「で、代わりに誰を上げる?」




劉備「先発の一番手は久保さんにお願いします。今期はリリーフ登板しかありませんが経験もありますし、このような状況で投手陣を引っ張れるのは久保さんが適任かと思います。」




久保「そうだろう?球児が抜けてクローザー候補とか言われてるけど、それすらさっぱりだしな。先発へのこだわりは捨ててないぜ。」




劉備「さらに私が一軍に上がるまで六番手で頑張っていた秋山。そして二軍から小嶋・鶴の両投手をローテーションに入れます。」




福原「それは!また、大抜擢だな。確かに二人とも期待されていた時期はあったが…」




劉備「実際のところ私を含めてローテーションとして結果を出している投手はいないのです。一軍で投げるということはチャンスであると同時に背水の陣であるという危機感が必要。二軍での二人にはそれが強く感じられたということです。」




スタンリッジ「オレハ、キキカンモッテルゼ。」




岩田「劉備よ。オレも二軍落ちか。」




劉備「岩田さんは誰かが脱落したならすぐにでも再昇格を期待しています。もちろんそれは私の可能性もあります。万全の状態をキープしていてください。」




岩田「分かった。お前らの尻に火が付くように仕上げとくぜ。」




安藤「ブルペンはどうなる?」




劉備「まず、抑えは福原さんにお願いします。それからセットアッパーに榎田さん。榎田さんの先発も考えましたが、それは最後の手段に取っておきたいと思います。」




榎田「勝ちゲームで投げられるなら連投だって構わんぜ。」




劉備「それから安藤さんは登板過多のようなのでいったん二軍で調整してもらいます。代わりに松田と玉置さんに上がってもらいますが、もちろんここも背水の陣で戦ってください。」




安藤「ま、俺の防御率もひでぇもんだからな。ちょっくら調子上げて戻ってくらぁ。」




劉備「私は一軍に残らせていただくが、もちろんこれ以上の失態が続くようなら二軍へ降格する。今回のオーダーは私の一存だが、今後の昇降格はスパイス監督や中負GMの意見も取り入れることとなる。」




久保「まぁ数字に見合ったオーダー変更だったら異論はないんだけどな。チーム状況がここまでヒドイのに何も手を打てないんだったら、オレ達もまた声を上げるぜ。」




劉備「はい。そうならないよう、まずチームの浮上が最優先です。それには投手陣だけでなく、野手陣の協力も不可欠です。」




西岡「確かチーム打率は良かったよな?」






劉備「はい。リーグトップです。しかし本塁打、得点ともに最下位。得点圏打率も最下位ではないもののすこぶる低い数字です。」






鳥谷「まぁオレ達だよな、大和。」



大和「そうっすね。オレなんか打点もほとんどあげてないし…」






劉備「お二人は一度スタメンを退いてもらいます。お二人とも守備は捨てがたいものがありますが、鳥谷さんの失策が多いのも打撃の不振とは無関係ではないかと思います。






鳥谷「そうだな。守備範囲が…とか言い訳はしないぜ。連続出場とか連続フルイニングもこだわりはない。オレがこだわるのはチャンスの時の打撃だ!」




劉備「お二人に代わって、ショート・坂、センター・浅井両選手に入っていただきます。控えに鳥谷・大和両名がいることにより、層の厚さにもつながります故、スタメンに恥なき活躍、期待しております。」




坂「おう。オレもいつまでもスーパーサブじゃいられねぇぜ。」




浅井「俺はチームに残れる最後のチャンスだな。今年ダメなら戦力外もありうると思ってるぜ。」




劉備「それとライトには福留さんとのトレードで来た杉谷を改めて起用する。レギュラークラスを放出して来たのだから、レギュラークラスの活躍を期待いたす。」




杉谷「オレ、福留さんとトレードで背番号が金本さんの6だろ?スゲェ期待されてるよな、なんでか分かんないけど。」




中負GM「1億3800万の価値はある。(1億5000万の働きをするとは言っていない)」



杉谷「けど外野陣は日ハムよりは隙がある!オレがレギュラー獲ってやる!」




劉備「その意気でござる。一塁は新井さんがもうすぐ帰ってくるはずだが、弟の良太にポジションを奪うつもりで頑張ってほしい。」




新井良太「小アニキには負けねぇ!」




劉備「そしてキャッチャーなのだが…」





藤井「気にすんな。関羽を使えよ。」




関羽「藤井さん!」





藤井「オレもまだまだ譲る気はないけどな。けど投手陣のこの成績はオレにも責任はある。ベンチから関羽の配球をチェックして、厳しく指導してやるよ。」




「藤井さん…結果はもちろんですが、投手に信頼されるキャッチャーとしてこの関羽雲長、藤井さんを目指し、超えていけるように精進いたしますぞ!」





劉備「藤井さん、そう言ってもらえてかたじけない。関羽は5番・キャッチャーで起用します。藤井さんが控えているからこそ、捕手は二人制にして、その分野手を登録します。」




藤井「小宮山、清水を落として、柴田と…桧山さんを上げるのか。ま、関羽が育てばこの先10年は正捕手に困らないからな。控え捕手もオレよりハードルが上がるから、まずは必死で二番手争いをしてもらわなきゃな。」




劉備「私が初めてバッテリーを組んだのが藤井さんだったことを誇りに思います。ありがとうございました。」




藤井「おいおい、引退するみたいな流れにするなよwまだやるって言ったろう。」




劉備「変更なきは1番・セカンド西岡さん、3番・レフトマートン、4番・サード張飛。この三人には変わらずチームを引っ張って欲しい。が、絶対聖域ではない。上本さんや俊介さん、関本さんには守備・走塁要員だけだとは思わず、ケガや疲労、不調の際はそれ以上の代わりとなれるよう日頃から備えていてくだされ。」




関本「ああ。新井の代わりは務まらなかったが、まだまだオレもやれるってところを見せてやるぜ。」




上本「西岡さん、大ケガしてもオレがいますから思い切ってプレーしてくださいね。」




西岡「福留さんはいないからヘーキヘーキ!」




俊介「新井さんが帰ってきたら真っ先に落とされるのはオレかもしれないけどそうはさせない!」




劉備「では最後に私が禁忌を犯して作成したオーダーを改めて確認してもらおう。先ほども言ったが基本、今後のオーダー変更はCOM采配に任せる。今後私が行うのは私・関羽・張飛を二軍に落とす場合のみだ。」







関羽「?(上層部に何か条件を出されたか?まぁ俺達は兄貴についていくだけだ!)」




能見「玄徳よ。よくぞやってくれた。俺達だけではここまで思い切った改革はできなかったかもしれん。そしてお前のチームを思う気持ちがあるからこそ、非情な通告にも血が通って感じられた。」




マートン「リュウビサン、ミンナヲヨクミテイルヨ。ダカラ、ミンナモナットクヨ。」




岩田「もう劉備なんて呼び捨てには出来ねぇな。崩壊寸前の俺達をまとめてくれた、まさに徳の将軍だ。」



メッセンジャー「『トノ』トオヨビシマショウ!」




西岡「殿を敗戦の将にはさせられねぇな!行くぜ、これからオレ達は勝つぜ!」






福原「そういや、張飛がいねぇな。アイツもなんだかんだでチームを引っ張ろうと頑張ってるよな。まだ若いから直情的だけどよ。」




新井良太「自分勝手そうに見えるけど、チームのことや殿のこともちゃんと考えてるよな。オレも一度はアイツにレギュラー追われたわけだけど、やっぱそれだけの活躍してるしな。もうすぐ規定打席だろ?タイトルも見えるぜ。」




新井さん「4番としての自覚も出てきた。しかし、これから張飛、関羽、そしてこのオレの真の4番争いが始まるのだよ。」




新井良太「小アニキ!来ていたのか!!」




新井さん「殿。張飛は殿が思っている以上に皆に理解されています。どうか次からはこのような場にも呼んであげてください。」




劉備「新井さん…ありがとうござる。張飛よ、誤解をしていたのは私のほうだったかもしれん。ここにはこんなにも良きチームメイトがおる。」
















張飛「おーい!調達してきたぞ、劉備の兄貴。」





劉備「むむむ。その他少量の15の元素までカンペキだ…これでは本当に人体錬成出来てしまうではないか。…ん?」




張飛「ああ、アンモニアが足らなくてな。ちょいとオレの成分を…」





西岡「酒くせーしょんべんだな!やり直し!だろ?殿。」




鳥谷「そうそう。殿のお使いも出来んヤツが4番とは片腹痛いわ。」




張飛「殿?お前ら劉備の兄貴を殿と呼ぶようになったのか?」




能見「曹操や孫堅だけが英雄ではないのだよ。我が軍には劉備玄徳という徳の将軍がいる。殿が天下を獲るために、我々は力の限り戦うのだ。」




張飛「小兄貴。オレがいない間に何があったんだ?」





関羽「フフフ。張飛よ。俺達ももう兄貴とは呼べぬな。殿は俺達の兄貴から皆の殿になったのよ。」




張飛「なんだかよく分からねぇが、これ使って新しい助っ人作るんだろ?バースのヒゲとかキーオの髪の毛とか持ってきたんだぜ?バッキーのはさすがに手に入らなかったが…あっ風で飛んでった!」




福原「こんなアホなのも、まだ若いから…だよな?」




劉備「やれやれだぜ。」





辛くも人体錬成の禁忌は避けられたものの、オーダー編成への介入という禁忌を犯した劉備玄徳。果たして吉と出るのか凶と出るのか。

そして今だ継続中の連敗記録は止まるのか。


劉備を殿として再びまとまりを見せた阪神タイガース。

次戦、沖縄セルラースタジアムで中日と激突!

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